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ぼくの手はきみのためにぼくの手はきみのために
(2007/03)
市川 拓司
図書室にて
星星星


久しぶりの市川さんです。
前回読んだのはたしか、「そのときは彼によろしく」

三つの、"彼と彼女”たちのお話。

いたわりあい、
喜びも苦しみも分かち合って
生きている不器用な2つの心――。



「ぼくの手はきみのために」
「透明な軌道」
「黄昏の谷」
と三つのお話からなっています。


「ぼくの手はきみのために」

幼馴染のひろと聡美。
小さい頃は聡美が弱虫のひろを守ってくれた。
が、11歳の夏、聡美は突如、倒れてしまう。
様々な治療を試みるが、結局発作を止められたのは、
背中をさすってくれるひろの手だけだった。


ひろも聡美も父親がいない。
母親同士は親友であり、職場も同じ。
経済的理由もあって4人は同じ家で暮らしてきた。
二人はいつも一緒に母親たちの帰りを待っていた。

やがて、聡美は発作を起こすようになり、
弱虫のひろは聡美の暖かさを必要とし、聡美はひろの発作をおさめられる手を必要とした。
しかし、成長するにつれ、2人は”いつもいっしょ”というわけにはいかなくなった。
聡美は就職し、ひろは大学へ進んだ。
ひろには好きな人も出来て、聡美は発作が起きても遠慮して、
あまりひろを呼び出さなくなっていた。


幼い頃はあまり余計なことを考えずに、ただそばいいたい―いてほしい、でよかったけれど、
ひろも聡美も大人になって、
その人にしか、できないことで相手を繋ぎとめておくわけじゃないけど、
最終的にそんな形になってしまうのは、
自分としても相手としても、きっとつらいことなんだろうなと思います。
そのときに、どうすべきか…。


「透明な軌道」

集団の中で暮らすことが難しい心の不自由さを持つ康生と
運命的な恋に落ちた真帆。
年齢差や、康生に息子がいることなどは障害にならず、
2人はおだやかなペースで絆を深めていく。
が、初めて結ばれた翌日、2人に思いがけない出来事が……。


康生とその息子の充生は、
私の近くにそんな人がいたらきっと毎日がほのぼのして楽しいだろうなぁ…
と思うような人たちです。
でも、真帆からしたら、少しでも好意を持っていた人が実は自分の父親くらいの年で、
息子までいると知ったときはきっととても驚いたでしょうね。
決して康生は若作りをしているとか、そういうことではないのでしょうから。

好きになった人がいくら息子と瓜二つだからといって、その人が亡くなった後に、
よく似た息子を好きになって結婚できるのかなぁ、今の私にはよくわかりません。

真帆と充生の、気になるんだけど、気づいてるんだけど、どぎまぎしてるんだけど、
でも表には出さない。表情には出さない。平生を装う。
そんな2人の心の中。
こういうシーンの書き方が、うまいなぁとおもってしまいます。


「黄昏の谷」

妹の子供である貴幸を育ててきた寛一は、
ある日、「あなたの子供だ」と連れて来られた初恵をも引き取って育て始めた。
血の繋がらない3人は、貧乏ながらも、太い揺ぎない絆で結ばれていく。
彼らが最後に行きつく、幸せの場所は・・・・・・。


幸いにしてか私はまだ、この本に出てくるような、
「あなたの子供だ」 
などといって人に子供を預けてどこかへ行ってしまうような大人には会ったことがありません。
お人よしも度が過ぎると病気だといいますが、
寛一は甥っ子にあたる貴幸のみならず、
元恋人の本当に自分の子かどうかも分からない初恵まで引き取ってしまいます。
貴幸も初恵も寛一によくなつき、実の親よりも親らしい。
そして寛一は、父親と母親2人分の愛情を一人でそそげるのか、と考える。
しかも血の繋がらない男が、血の繋がらない少年と少女に。


私は本を図書室で手に取ったとき、この本に対してもっと違ったイメージを持っていました。
そのときは帯がついたままだったので。
やや、帯にイメージを先導されてしまった感じがありました。
初めの話から、進むにつれてなんとなく暗くなっていくし、
さてこの物語はどこに行き着くのだろうという感じでした。


三つのお話それぞれに出てくる彼と彼女らはいま。
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テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学



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